摂食障害のサワコさん、後半。摂食障害に治癒はあるのか?

病院の食事なんか美味しくない。味も薄いし。食べたくない。

看護師さんにふりかけは食べてもいいって言われたから、お母さんに言って買ってきてもらった。

お母さんに、「食べないと退院できないから、好き嫌いせずに頑張って食べてね。」と言われた。

食べれるのに。

食べれるけどちょっとダイエットしてるだけなのに。

一週間経った。イライラする。夜も眠れない。

主治医に言ったら薬を出された。眠剤と気持ちを落ちつける薬だと言われた。

 

次の日。

眠剤を飲んだせいか、ダルい。

動けなくなる。毎日10km走ってたのに。

薬なんか飲まない。そもそも病気じゃないんだし。

病院では吐いたこともないし、ちゃんと食べてるのに。

友達からメールが来ない。お母さん、10時には来るって言ってたのに。

もう10時5分なのに、まだ来ない。

 

入院してから2週間経った。

毎日体重測っていたのに、入院してから、まだ体重を測らせてもらってない。

体重増えてたらどうしよう…。怖い。

 

12時間は外出が許されているので、全力で歩き回る。

暑い。汗をかくと痩せそうで嬉しい。

暑いから、ちょっとドラッグストアに寄ろう。

下剤コーナーが広いスペースを取っている。

そういえば最近便秘がちだ。

家からこっそり持ってきていたお金で、便秘薬を買いました。

便秘薬を使うと便が出た。すっきりした。

量を多めに飲むと、それだけ便が出る。

お腹がグルグル鳴る。消化される前に食べ物が出ると思うと嬉しい。

 

下剤を使い始めてしばらくして、意識がなくなった。

気が付いたらベッドに寝ていました。

お母さんが泣いてる。また倒れた?

主治医の声が遠くに聞こえる。

「しばらくはあまり動かないように。外出も禁止。下剤は使わない。便秘になったら言いなさい。」

声が遠い。私に向かって言ってるのかな?

 

それから1週間はずっとベッドで過ごした。

生まれて初めて点滴をしたし、鼻からも管を入れられた。液体の栄養剤だと言われた。

栄養剤って、何が入っているんだろう。カロリーが気になる。太りたくない。怖い。

 

お母さんが本を持ってきてくれた。

そうだ、私は小さい時から本の虫だったのに、ダイエットを始めてからはあまり読んでなかった。

読書をすると動かないから、少しでも動こうと思って読書をするのは止めたんだ。

 

活字を見ると少し落ち着く。食事も頑張って食べている。

イライラ時という頓服の薬を飲むと、無償に食べたいと思う気持ちを少しだけ抑えられる気がした。

8月中旬、主治医に言われた。

「だいぶ良くなった。そろそろ帰っても大丈夫そうだね。

栄養剤を出しておく。食事が食べられない時に、朝昼夕に1缶ずつ飲みなさい。

運動は、1日1kmくらいまでのウォーキングにしておきなさい。

薬もちゃんと飲んで、しっかり睡眠を取って朝ちゃんと起きること。

病院から出されている下剤以外は飲まないこと。」

色々細かいな。

お母さんは喜んでくれた。

家に帰れるのは嬉しい。何もすることがない時は本を読もう。

お母さんの好きな韓国ドラマも観てみよう。吐くのと下剤は止めよう。

太りたくないけど、入院するのはもうイヤ。

お母さんが泣くのは見たくないし。」

 

岡林先輩は、また水を飲みに行った。

「お昼のお蕎麦のせいでしょうか。喉が渇いてしまいました。」

ちょっとだけ照れたように笑い、説明を再開する。