統合失調症の躁状態は、脳神経細胞に悪影響?

「お先にお昼頂きました」と、アリサちゃんが昼休みから戻ってきた。分かり易くふくれっ面をしている。 「川村さん、聞いて下さい。栄養科の友達とランチしてたんですけんど、研修医の中村先生は、36歳で変わり者らしいです。全然かっこ良くないみたいです。…

新型うつ病の永山さんが入院生活を満喫できるのは、一時の幸運?

薬局に戻ってきて、岡林先輩に声を掛ける。 「岡林さん、終わりました。なんだかぼんやりしている人でした。」 「とらえどころがなかったですか?」 「そうです、糠に釘っていう感じでした。」 「新型うつ病の人は、そういう人が多いです。あの人は生活リズ…

最近はやり?の新型うつ病・・・、健常者と病人の境界線は何処に?

永山さんのカルテを見る。 永山さんは男性で39才。新型うつ病。 新型うつ病のことは、岡林先輩に借りた本にも載っていた気がする。でも内容をよく覚えてない。 永山さんの職歴は、特に書かれていない。 母親と姉と暮らしている。 永山さんのことが全く想像で…

恋、それは精神科の病気の症状に非常によく似ている。乙女の焦燥感と地頭には勝てない?

アリサちゃんは年相応にキャピキャピしているが、これほどテンションが高いアリサちゃんを見るのは初めて。 「川村さん、栄養科の友達に聞いたのですけんど、医大から精神科志望の研修医が来られるそうです」 『そうです』の後に、ハートが飛んでる。 研修医…

摂食障害の患者さんの服薬指導後に、カルテの書き方を習得。

さてと、カルテを書こう。 電子カルテの前の椅子に腰を掛けると、ふいーっと溜息が出る。 もう立ち上がれないかも。 この病院の電子カルテはSOAP形式で書くことになっている。 S(Subject)…患者さんが言ったことを簡単に書く O(Object)…主病名、検査値、…

服薬指導が終わった後の、尋常じゃない疲労感を感じつつ、本日を振りかえる。病棟での生活を考えて、社会生活の大変さを垣間見た29歳。

看護師さんに服薬指導が終わったことを報告して、面会室の電気を消して薬局に戻る。 ふー、なんだか疲れた。階段を降りて、扉を開けると2階。外来の待合室を横切って薬局に戻る。 調剤薬局では毎日服薬指導をしていたのに、どうしたことか。 めちゃめちゃ疲…

初めて精神科で単独の服薬指導。無駄に恐れおののき過ぎて、挙動不審感がぬぐえない。

病棟に着いた。そうだ、まず看護師さんに言わないと。 「お疲れ様です。若松さんの服薬指導に来たんですけど…。」 「若松さん、呼んできましょうか?」 「いえいえ、そんな。私がお部屋に伺います。面会室を使ってもいいですか?」 「じゃあ、電気はこっちな…

初めて単独の服薬指導に行け!とのご用命。親鳥に見送られて飛び立つ私。

お昼が終わって、薬剤部に戻る。 「お昼、お先にありがとうございました。」 「お帰りなさい。」と、市川主任が迎えてくれる。 岡林先輩がカルテから目を離して言う、 「川村さん、服薬指導に行って欲しい人がいるのですけど、独りで行ってもらってもいいで…

精神科の患者さんへの対応にやたらと恐れおののいてしまう。そして、超絶明朗な先輩により目から鱗がこぼれ落ちた。

『まーいいか』か…。 寝ると忘れる私は、まーいいかの境地なの? はー、分からんことばかりだ。 今日のお昼はお弁当を持ってきていないから、食堂で食べよう。 食堂で1人でご飯食べるのイヤだなあ。 「あれ、川村さん?今日は食堂なの?」と、元気いっぱいな…

発達障害の蔭山さんとの初対面。愚者は経験からしか学べないことを知り、とりあえずマニュアルを求めてみるがマニュアル自体が見当たらない。

月曜日。 また一週間が始まる。 「おはようございます」 「川村さん、おはようございます。今日は発達障害を勉強しましょう。」 「はい。」 「アスペルガー症候群も広汎性発達障害に入ることはこの前説明しました。 では、発達障害とは何かと言うと、まだ良…

川村トミ子の休日。精神科は今日はお休みです。清水の舞台から飛び降りて、車買ってみました。

とりあえず、家に帰ろう。金曜日の夜だけど、まっすぐ家に帰ります。 私もそろそろ三十路。 もうちょっと可愛かったら、もうちょっと賢かったら、素敵な人に見初められて、今頃ママになってるのかなあ。 顔の造形も整っていないし、不器用だし、薬剤師って言…

アスペルガー症候群の緒方さんの苦しみと、彼氏がいてもいなくても悩む気持ち。

アスペルガー症候群の話に戻りますね。さっきも言いましたが、アスペルガー症候群の方は人とのコミュニケーションが苦手です。 とはいえ、お仕事をされている方も多いです。ただ、職場で対人関係の問題を抱えている人も多いと思います。 緒方さんはずっと同…

アスペルガー症候群の緒方さんの説明の前に、精神科の入院について倫理的なお話をちょっぴり静聴。

岡林先輩が説明してくれる。 「緒方さんは、頻繁にではないですけど、休息入院に来られます。」 「休息入院って何ですか?」 「体調がすごく悪くなって入院するわけではなくて、数日から3カ月までの間の期間で入院して休息を取ったり、生活リズムを修正した…

初めて会う、アスペルガー症候群の人。

監査が終わったころ、岡林先輩が戻ってきた。 「川村さん、今から患者さんのところに行くので、川村さんも来れますか?」 「はい、大丈夫です。」 「今から行くのは、アスペルガー症候群の患者さんです。川村さんはアスペルガー症候群の方にお会いしたことは…

可愛いアリサちゃんとの一時。岡林先輩と市川主任の仲は・・・?

クールに見えて、岡林先輩は熱い。 それが最近分かってきた。 「岡林さん、一度に飲む水分の量って…例えば、コップ一杯くらいでも危険ですか?」 「コップ一杯?」 「200mLくらいです。」 「それくらいだったらおそらく問題ないと思います。通常は、1日2~4L…

水中毒とは! 水分を我慢することへの苦痛。(チョコレートを我慢できない私はその辛さがちょっと分かる?)

今日は金曜日。 今日頑張れば明日から週末。ゴロゴロしたい! ジョニーデップの新作映画観たい。撮り溜めてるクリミナルマインド観たい。 「おはようございます」と、疲れを見せない岡林先輩。 「今日は、今週の薬の説明会に来て下さった西村さんの説明をし…

これも薬剤師の仕事? 国際化の波にのってみせます!

市川主任がどこからともなく現れた。 「皐月ちゃん、ちょっと来てくれる?」 「はい。川村さん、ちょっと行ってきますので、また薬の監査をお願いしてもいいですか?」 と、岡林先輩が市川主任に付いて行った。 2人の会話が聞こえる。 「皐月ちゃん。なんか…

摂食障害の患者さんへの対応と、近道がないことへの憂鬱。

「同じ摂食障害でも、青木さんはかなり痩せていますね。青木さんの方が藤原さんよりも摂食障害の歴が長いです。 現在は、青木さんは下剤乱用、藤原さんは過食嘔吐が主な症状です。 過食嘔吐の患者さんは、過食してから嘔吐までにある程度栄養を吸収できるか…

摂食障害、カロリーが足りないと脳は委縮する?

「サワコさんのお話はかなり漠然としていますが、拒食、過食嘔吐、下剤は摂食障害の人に多いです。過食嘔吐だけで下剤は使わない人、下剤だけ使う人など、個人差がありますし、自傷行為を行う人もいます。自傷行為というのは、自分で自分を傷つける行為のこ…

摂食障害のサワコさん、後半。摂食障害に治癒はあるのか?

病院の食事なんか美味しくない。味も薄いし。食べたくない。 看護師さんにふりかけは食べてもいいって言われたから、お母さんに言って買ってきてもらった。 お母さんに、「食べないと退院できないから、好き嫌いせずに頑張って食べてね。」と言われた。 食べ…

摂食障害のサワコさん、前半。

今度は仮のサワコさんとしてお話しましょうか。 サワコさんは普通の高校生一年生。 仲のいい友達がクラスメートにいて、毎日楽しく学校に通っていました。 ある日、友達の1人が最近ダイエットをしていると楽しそうに話すのを聞いて、なんとなく私もダイエッ…

佐竹さんと摂食障害、ちょっとだけ、カプセルへのクレーム。

そう、カプセルもね。 時代錯誤じゃない?カプセルって。ナノの世界をどうのこうの言ってる時代に、楕円形の容器に詰めるだけって・・・。 高齢の患者さんは、ご飯でせき込み、お茶でせき込み、看護師さんに隠れて食べたアンパンで窒息しかけ。そんな状況で、1…

うつ病のサチヨさんのその後と、薬の大きさに関してのクレーム。

岡林先輩が戻ってきた。 「今の例え話も、ありそうな作り話です。」 え?例え…? 「生まれつき精神疾患の素因が強く、どのような環境にいたとしても精神疾患を発病する人もいますし、何かが原因となって精神疾患を発病する人もいます。発病のきっかけとなる…

うつ病のサチヨさんの人生を振り返る。

「また例え話で恐縮ですが、今度はサチヨさんにしましょうか。でもその前に、ちょっと喉が渇いたので水を飲んできます。」 岡林先輩はサッと席を立った。話し続けると喉渇くよね。学校の先生大変だっただろうな。授業とか、ホント聞いてなかったなあ。はー、…

抗うつ薬の副作用と、うつ病の症状。

岡林先輩がいつもの様に静かに話し始める。 「まず、便秘です。 排便は、食べ物、水分、運動、睡眠、ストレスなどの影響を大きく受けます。 個人差はありますが、入院初期は休息が第一になることが多く、体をあまり動かさない方が良い時期があります。休息は…

統合失調症は、治るのか?バカになるのか?

そういえば、統合失調症って治るんだろうか? 「岡林さん、統合失調症って治るんですか?」 「治るというのは…分かりません。治るというのが、『一生再発しない』ということであるなら、死ぬまで分からないことです。でも、統合失調症で長期入院されている患…

統合失調症の幻聴とは!サトシ君と共に。

「西岡さんは、統合失調症です。きれいな統合失調症と言えます。今は、お気付きかと思いますが認知症も入って来ています。TPOに関わらず、言いたいことを言ってしまうのは知的レベルの低下によるものだと思います。川村さんは、統合失調症についてどの様な知…

グループワークの存在意義を学ぶ

薬の説明が終わって、質疑応答の時間になると、患者さんが積極的に手を挙げる。 「便秘が酷いんです。やっぱり薬のせいですか?」と、秋山さん。 岡林先輩は毎回の質問に相手の目を見ながら答える。 「抗うつ薬は、便秘や口が渇いたりする副作用は確かにあり…

薬の説明会の見学

岡林先輩が病棟に上がった後、いつもの様に薬の監査を開始する。 夢中で監査をしていると、市川主任が「今日はもう上がってねえ。」と声をかけてくれる。 もうそんな時間か。とっとと帰っちゃおう。 遅くまで残って仕事への熱意を見せたいところだけど、睡眠…

眠れない?

月曜日。 月曜の朝だからか、月曜の朝なのにか分からないけど、眠い。身体が重い。 「おはようございます。」と、できるだけ爽やかに挨拶してみる。 「おはようございます。」と、岡林先輩はいつもと変わりない。ふわりとほほ笑んでる。月曜の朝なのに…。同…