2014-01-01から1年間の記事一覧
月曜日。 また一週間が始まる。 「おはようございます」 「川村さん、おはようございます。今日は発達障害を勉強しましょう。」 「はい。」 「アスペルガー症候群も広汎性発達障害に入ることはこの前説明しました。 では、発達障害とは何かと言うと、まだ良…
とりあえず、家に帰ろう。金曜日の夜だけど、まっすぐ家に帰ります。 私もそろそろ三十路。 もうちょっと可愛かったら、もうちょっと賢かったら、素敵な人に見初められて、今頃ママになってるのかなあ。 顔の造形も整っていないし、不器用だし、薬剤師って言…
アスペルガー症候群の話に戻りますね。さっきも言いましたが、アスペルガー症候群の方は人とのコミュニケーションが苦手です。 とはいえ、お仕事をされている方も多いです。ただ、職場で対人関係の問題を抱えている人も多いと思います。 緒方さんはずっと同…
岡林先輩が説明してくれる。 「緒方さんは、頻繁にではないですけど、休息入院に来られます。」 「休息入院って何ですか?」 「体調がすごく悪くなって入院するわけではなくて、数日から3カ月までの間の期間で入院して休息を取ったり、生活リズムを修正した…
監査が終わったころ、岡林先輩が戻ってきた。 「川村さん、今から患者さんのところに行くので、川村さんも来れますか?」 「はい、大丈夫です。」 「今から行くのは、アスペルガー症候群の患者さんです。川村さんはアスペルガー症候群の方にお会いしたことは…
クールに見えて、岡林先輩は熱い。 それが最近分かってきた。 「岡林さん、一度に飲む水分の量って…例えば、コップ一杯くらいでも危険ですか?」 「コップ一杯?」 「200mLくらいです。」 「それくらいだったらおそらく問題ないと思います。通常は、1日2~4L…
今日は金曜日。 今日頑張れば明日から週末。ゴロゴロしたい! ジョニーデップの新作映画観たい。撮り溜めてるクリミナルマインド観たい。 「おはようございます」と、疲れを見せない岡林先輩。 「今日は、今週の薬の説明会に来て下さった西村さんの説明をし…
市川主任がどこからともなく現れた。 「皐月ちゃん、ちょっと来てくれる?」 「はい。川村さん、ちょっと行ってきますので、また薬の監査をお願いしてもいいですか?」 と、岡林先輩が市川主任に付いて行った。 2人の会話が聞こえる。 「皐月ちゃん。なんか…
「同じ摂食障害でも、青木さんはかなり痩せていますね。青木さんの方が藤原さんよりも摂食障害の歴が長いです。 現在は、青木さんは下剤乱用、藤原さんは過食嘔吐が主な症状です。 過食嘔吐の患者さんは、過食してから嘔吐までにある程度栄養を吸収できるか…
「サワコさんのお話はかなり漠然としていますが、拒食、過食嘔吐、下剤は摂食障害の人に多いです。過食嘔吐だけで下剤は使わない人、下剤だけ使う人など、個人差がありますし、自傷行為を行う人もいます。自傷行為というのは、自分で自分を傷つける行為のこ…
病院の食事なんか美味しくない。味も薄いし。食べたくない。 看護師さんにふりかけは食べてもいいって言われたから、お母さんに言って買ってきてもらった。 お母さんに、「食べないと退院できないから、好き嫌いせずに頑張って食べてね。」と言われた。 食べ…
今度は仮のサワコさんとしてお話しましょうか。 サワコさんは普通の高校生一年生。 仲のいい友達がクラスメートにいて、毎日楽しく学校に通っていました。 ある日、友達の1人が最近ダイエットをしていると楽しそうに話すのを聞いて、なんとなく私もダイエッ…
そう、カプセルもね。 時代錯誤じゃない?カプセルって。ナノの世界をどうのこうの言ってる時代に、楕円形の容器に詰めるだけって・・・。 高齢の患者さんは、ご飯でせき込み、お茶でせき込み、看護師さんに隠れて食べたアンパンで窒息しかけ。そんな状況で、1…
岡林先輩が戻ってきた。 「今の例え話も、ありそうな作り話です。」 え?例え…? 「生まれつき精神疾患の素因が強く、どのような環境にいたとしても精神疾患を発病する人もいますし、何かが原因となって精神疾患を発病する人もいます。発病のきっかけとなる…
「また例え話で恐縮ですが、今度はサチヨさんにしましょうか。でもその前に、ちょっと喉が渇いたので水を飲んできます。」 岡林先輩はサッと席を立った。話し続けると喉渇くよね。学校の先生大変だっただろうな。授業とか、ホント聞いてなかったなあ。はー、…
岡林先輩がいつもの様に静かに話し始める。 「まず、便秘です。 排便は、食べ物、水分、運動、睡眠、ストレスなどの影響を大きく受けます。 個人差はありますが、入院初期は休息が第一になることが多く、体をあまり動かさない方が良い時期があります。休息は…
そういえば、統合失調症って治るんだろうか? 「岡林さん、統合失調症って治るんですか?」 「治るというのは…分かりません。治るというのが、『一生再発しない』ということであるなら、死ぬまで分からないことです。でも、統合失調症で長期入院されている患…
「西岡さんは、統合失調症です。きれいな統合失調症と言えます。今は、お気付きかと思いますが認知症も入って来ています。TPOに関わらず、言いたいことを言ってしまうのは知的レベルの低下によるものだと思います。川村さんは、統合失調症についてどの様な知…
薬の説明が終わって、質疑応答の時間になると、患者さんが積極的に手を挙げる。 「便秘が酷いんです。やっぱり薬のせいですか?」と、秋山さん。 岡林先輩は毎回の質問に相手の目を見ながら答える。 「抗うつ薬は、便秘や口が渇いたりする副作用は確かにあり…
岡林先輩が病棟に上がった後、いつもの様に薬の監査を開始する。 夢中で監査をしていると、市川主任が「今日はもう上がってねえ。」と声をかけてくれる。 もうそんな時間か。とっとと帰っちゃおう。 遅くまで残って仕事への熱意を見せたいところだけど、睡眠…
月曜日。 月曜の朝だからか、月曜の朝なのにか分からないけど、眠い。身体が重い。 「おはようございます。」と、できるだけ爽やかに挨拶してみる。 「おはようございます。」と、岡林先輩はいつもと変わりない。ふわりとほほ笑んでる。月曜の朝なのに…。同…
いつもの様に薬の監査をしていたら、岡林先輩がいつもの様にふわりと声をかけてきた。 「川村さん、今話しかけても大丈夫ですか?」 「はい。」 「川村さん、精神科の薬剤師の仕事はいろいろありますが、重要な仕事の1つがグループワークでの薬の説明になり…
とりあえず2週間は薬の監査、監査の日々。 ヒーヒー言いながら薬を監査して、1日が終わる。眼精疲労が半端ない。 「川村さん、必須の勉強会があるから、出れる日を教えてね。」と、市川主任がひょっこり話しかけてきた。 「必須ってなんですか?」 「年に2…
抗精神病薬は、主に統合失調症に使われる。 「統合失調症の人が多いんですね。」と、岡林先輩に言うと、「きれいな統合失調症の患者さんは少ないですけどね。」と言われる。 きれい?きれいな統合失調症の患者は少ない… 統合失調症の患者のブサイク化が進ん…
病棟見学が終わり、薬局に戻ると市川主任がみんなに紹介してくれる。 「薬剤部は本館にあるけど、精神科は別館だから精神科だけの薬局があります。平日の日中は精神科の調剤はここでしてるの。病棟の担当は皐月ちゃんで、助手のアリサちゃん、DIと管理業務は…
閉鎖病棟は、鍵がないと出入りできない病棟で、開放病棟は鍵がなくても自由に出入りできる病棟。 自由に出入りできるとはいえ、精神科の建物が全て夜6時~朝6時までは施錠されるので、施錠されている時間は出入りできない。精神科病棟全体を夜間閉鎖するため…
内科などの一般科と同じように精神科病棟にも以前から薬剤師が入っていたけど、もっと薬剤師が病棟に入り込むために薬剤師を増員するそうだ。 なるほど。では、精神科で頑張ります! さっそく次の週から精神科。名残を惜しんでもらうヒマもなく精神科へ。 ま…
「川村さん、来月から精神科行ける?」 部長から、いきなり人事のお達し。 ウチの薬剤部では、「人事はいっつも急よ~」と言われていたけど、まさに急。 なんの前置きもなしにいきなりの宣告。 私は、中途採用でこの木下総合病院に来た薬剤師、川村トミ子、2…